知人の真由美さん(仮名・女性50代)から聞いた、葬儀でのお話です。祖父の葬儀が始まると、いとこは突然「おじいちゃんには本当にかわいがってもらって……」と号泣。祖父との思い出を語り始めました。普段は介護にほとんど関わっていなかったいとこの姿に、親族たちは驚きを隠せず……
介護を手伝わなかったいとこ
私は長年、祖父の通院の付き添いや買い物など、身の回りの世話を手伝ってきました。一方、いとこは「仕事が忙しいから、みんなで協力して頑張ってくれ」と言うばかり。介護にほとんど関わらず、祖父のもとに顔を見せることもめったにありませんでした。
そんな祖父が亡くなり、葬儀が執り行われた日のことです。
葬儀で突然号泣
葬儀中、いとこは「おじいちゃんには本当にかわいがってもらって……」と号泣。「小さい頃はよく遊んでもらった」と、40年以上も前の思い出を次々と語ります。
しかし、最近の祖父の様子や介護について尋ねられると、まったく参加していなかったので何も話せません。親族たちは顔を見合わせ、「一体、何の涙なの……?」と、あきれた表情を浮かべました。
自分の思い出ばかりを主張
さらにいとこは「おじいちゃんは僕のことが一番好きだったと思う」と主張し、祖父の遺品まで「僕がもらいたい」と言い出しました。私が介護で苦労してきたことには触れず、自分と祖父の思い出ばかりを強調する姿に、親族たちも困惑。
そんななか、遺品を整理していると、祖父が生前に残した手紙や写真が見つかりました。そこには、私への感謝や、一緒に過ごした日々が記されていたのです。
祖父が遺してくれた言葉
手紙を読んだいとこは、祖父が晩年にどんな日々を過ごし、誰に支えられていたのかを改めて知った様子。「自分の寂しさばかり主張してごめん」と私に謝罪しました。
遺品は祖父の希望や家族の話し合いを踏まえて分けることに。私は祖父と過ごした時間を、大切な思い出として胸にしまいました。
【体験者:50代・会社員、回答時期:2024年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:橘 りお
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。故人を失った悲しみは人それぞれですが、自分の思いばかりを主張して、誰かの苦労を見落としてしまうこともあります。故人への愛情を言葉で競うのではなく、支えてきた人への敬意も忘れずにいたいです。

