突然の爪痕
そんなある日、ミルクがいつものように私のお腹の上で眠っていた時のこと。突然、バランスを崩したのか、深く爪を立てて私のお腹をひっかいたのです。今まで一度もそんな行動はありませんでした。驚いて傷口を見ると、血がにじんでいきます。
「どうしたんだろう」と様子を見ていたものの、痛みは治まらず、場所が場所だけに放置するわけにもいきません。高校生だった私は、下腹部を皮膚科で見せることに抵抗があり、婦人科を受診することを選びました。
ミルクが守ってくれた
初診のため、問診票の記入が必要でした。「経血量・ナプキンから漏れるほど」「月経痛・痛み止めを飲んでも油汗が出るほど」当たり前のように〇をつけていく私。すると看護師さんが心配そうな表情を浮かべたのです。
診察の結果、子宮腺筋症と判明。初潮からずっと重い生理痛に悩まされていたため、「みんなこんなものだろう」と思い込んでおり、重大さに気づけていなかったのです。もしミルクがひっかいてくれなければ、産婦人科を受診することもなく、発見はもっと遅れていたかもしれません。
ミルクが私を引っかいたのは後にも先にもあの一度だけ。私に気づかせるためにあえて爪を立てたのではないか、そう思うのです。今は投薬治療で症状も落ち着き、元気な子どもにも恵まれました。ミルクの存在が、私の人生を守ってくれたのだと感じています。
言葉を話さない動物。しかし彼らは、本当は言葉以上のものを理解し、時に伝える術を持っているのかもしれません。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。
