今回は、近所の知人、百合さん(仮名)に聞いた、勤務先の花屋での出来事をご紹介します。ある日の午後、店を訪れた70代くらいの男性から「きれいすぎない花束を作ってほしい」と頼まれた百合さん。花束には珍しいその注文には、男性が長い間大切にしてきた思い出が関係していました。
「きれいすぎない花束」という注文
私は駅前にある小さな花屋で働いています。ある日の午後、70代くらいの男性が来店し、「きれいすぎない花束を作ってもらえませんか」と言いました。どういう意味だろうと思い詳しく尋ねると、「咲ききって、少しだけ元気がなくなった感じにしてほしい」とのこと。
とはいえ、傷んだ花を商品としてお渡しするわけにはいきません。どう対応したらいいのか迷っていると、男性は「もちろん普通の花束と同じ金額を払います」と申し訳なさそうに付け加えました。
男性が見せてくれた古い写真
店長に相談し、傷んだ花ではなく、開花が進んだ花を使って雰囲気を近づけることにしました。男性が選んだのは、白いカーネーションと薄い黄色のバラ。「包装紙も華やかにせず、新聞紙のような色にしてください」と頼まれました。
あまりに細かな注文だったので、私は気になって「何か思い出の花束なのですか?」と尋ねてみました。すると男性は財布から古い写真を取り出したのです。そこには、少しくたびれた花束を抱え、うれしそうに笑っている若い女性が写っていました。
