ほころび
Bはさらに「いや、〇〇年には着工すら始まってなかったよ」と追撃。Aは「いっぱい色んなテーマパークに行って混同しただけだから!」と声を荒げます。
そこで私は話題を変え、「海外のベビーフードってどんなのがある? 現地のスーパーで買いたくて」と聞いてみました。するとAは「普通」とぶっきらぼうな返事。
おすすめメーカーを尋ねても、さっきまでの熱量はどこへやら「どれも同じ」と一言返すだけでした。そして突然「用事思い出した!」と席を立ち、帰っていったのです。
赴任先とは
それ以来、Aは海外の話を一切しなくなりました。後日、運動会でAの夫に会った際、海外赴任の話題を振ると、思いがけない言葉が返ってきたのです。
「僕は一度も海外に行ったことないんです。妻の妹は海外赴任をしていて、妻は一度だけ妹に会いに旅行しただけで……それ以来海外かぶれになってしまって。気に障ることがあったらすみません」と。
ベビーフードに詳しくなかったのは、当時Aに子どもがいなかったから。テーマパークも観光で一度行っただけ。そしてBは、あえて言わなかったものの、つい最近まで海外赴任しており、Aの海外自慢と日本批判の嫌気がさし、一石を投じたのでした。
見栄を張ったり、知ったかぶりで自分を大きく見せようとするよりも、知らないことを素直に認められるほうがずっと健やかに生きられる、そう感じた出来事でした。肩の力を抜いて「知らない」と言える勇気こそ、人生を軽やかにしてくれるのだと思います。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。
