友人・あやさん(仮名)の実体験です。不妊治療は、周囲には見えない苦労の連続でした。勇気を出して打ち明けた職場で、何気ない一言に深く傷ついたことがあります。そんな私を救ってくれたのは、同じ経験をした先輩の言葉でした。
先輩の言葉
そのとき、先輩の美穂さん(仮名)が口を開きました。「私も治療していましたけど、気楽なんて一度も思ったことはありません。病院の予約に合わせて仕事を調整したり、薬で体調が悪くなったり、毎月結果を待つ苦しさは経験した人にしか分からないと思います」と穏やかに話してくれました。
さらに「『便利になった』『気楽』という言葉は、励ましではなく相手を傷つけることがあります」と続けると、職場の空気は一変しました。
想像することの大切さ
男性社員は初めて自分の発言の重さに気づいたようで、「知らなかったとはいえ、ごめん」と謝ってくれました。それ以来、その人は不用意に家庭や妊娠の話題へ踏み込むことはなくなりました。
何よりありがたかったのは、美穂さんが、経験者だからこそ伝えられる言葉で守ってくれたこと。知らないこと自体は仕方ありません。でも、目の前の相手には自分には見えない事情があるかもしれないと想像することが、思いやりの第一歩なのだと実感した出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2022年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:橘 りお
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。
