次に息子の体調不良で早退した翌日、山里さんは「ごめん、できてないから」と、引き継いで帰った仕事を手つかずのまま私に返してきました。その時は「忙しかったのかな?」と思い、私が急いで仕上げたのですが、その後も山里さんは何かと理由をつけて、引き継いだ仕事をそのまま戻してくるようになったのです。
空気を変えた一言
ある日、山里さんから返された仕事を私が片付けていると、そのやり取りを聞いていた隣の席の同僚が「あれ? 山里さん、昨日『手が空いてるから』って、その仕事引き受けてくれたよね?」と不思議そうに声をかけました。山里さんは一瞬言葉に詰まります。
すると同僚は笑顔のまま「フォローってチームで助け合うためにするものでしょ。見返りを期待してやることじゃないし……もちろん、山里さんもそんなつもりじゃないと思うけど」と意味ありげに微笑んだのです。
山里さんは「……そうだね」と小さく答えるしかありませんでした。それ以来、「私がやってあげたから」という恩着せがましい言葉を聞くことも、引き継いだ仕事を返されることもなくなり、私はようやく気を遣いすぎずに働けるようになりました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:逢坂 ゆな
ライター業をしながら、実は現役の保育士でもある。その実体験を元にしたエピソードをSNS発信すると好評を得て、執筆者としても活躍するように。幼稚園教諭や歯科受付などの、多彩な職業も経験。読者からの共感の声やお悩み相談、体験談が届き、それらも元に執筆中。育児エピソードや義母・夫とのバトルなど、ママ世代から共感を呼ぶリアルな体験記事が人気。
