医師が告げた現実
しばらくして診察室へ入った医師は「熱中症の一歩手前です」と静かに告げました。その言葉を聞いた瞬間、私は朝のやり取りが頭をよぎり、夫の方へ視線を向けます。
夫は「実は……」と口を開き、私が準備していた熱中症対策を断ったこと、真夏の公園で数時間遊んだことを医師に話し始めました。すると医師は「お母さんが準備していた対策は正しかったです。今の暑さは昔とは違います。大人の感覚で判断するのは危険ですよ」と丁寧に説明してくれました。
夫は何も言い返せず、うつむいたまま黙って医師の言葉を聞いていました。
ようやく認めた過ち
診察が終わって待合室へ出ると、夫はしばらく黙ったままでした。そして小さな声で「すまなかった……」と頭を下げたのです。朝は「過保護すぎ」と笑っていた夫の姿は、そこにはありませんでした。
幸い息子は大事には至らず、その日は自宅で安静に過ごすことになりました。あの日以来、夫は熱中症対策について自分でも調べるようになり、今では家族の誰よりも詳しくなりました。外出前には私より先に保冷剤や飲み物を準備する姿が当たり前になっています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:逢坂 ゆな
ライター業をしながら、実は現役の保育士でもある。その実体験を元にしたエピソードをSNS発信すると好評を得て、執筆者としても活躍するように。幼稚園教諭や歯科受付などの、多彩な職業も経験。読者からの共感の声やお悩み相談、体験談が届き、それらも元に執筆中。育児エピソードや義母・夫とのバトルなど、ママ世代から共感を呼ぶリアルな体験記事が人気。
