翌朝知った事実
翌朝、ニュースを見て私は息をのみました。私が通ろうとしていた近道では、大きな街路樹が夜中に倒れ、歩道をふさいでいたのです。倒れた時間は、私があの場所を通るはずだった時間帯とほぼ同じでした。もし、そのまま近道へ進んでいたら……考えただけで背筋が冷たくなりました。
その日の帰宅後、私は玄関のミアの写真を見つめながら、小さくつぶやきました。「助けてくれたの……?」もちろん、本当のことは分かりません。でも、あの鳴き声だけは今でも鮮明に覚えています。
今も心の中で生き続けている
それ以来、私は「見えない存在に守られることもあるのかもしれない」と考えるようになりました。誰かに話すと「偶然だったのでは」と言われることもあります。それでも私は否定する気にはなれません。
ミアは15年間、私が落ち込んでいる時も、うれしい時も、いつもそばにいてくれました。だから最後の最後まで、私を心配してくれたとしても不思議ではない……そんな気がしています。
今でも家へ帰るたび、写真に向かって「ただいま」と声を掛けます。すると、あの台風の夜に聞こえた優しい鳴き声が、心のどこかで静かによみがえるのです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。
