「どうしてそんなことするの?」思わず強い口調で叱ってしまうと、長男は反抗することもなく、うつむいたまま小さな声でこう言いました。「ママ、赤ちゃんばっかり……」
本当に伝えたかった気持ち
その一言を聞いた瞬間、私は胸が締め付けられました。毎日、下の子が泣けば抱っこをして、ご飯を食べさせ、寝かしつけることに必死。その間、長男には「お兄ちゃんだから待ってね」「自分でできるよね」と声をかけることが増えていたのです。
でも、長男はまだ3歳。突然弟ができて、大好きなママを独り占めできなくなれば、寂しく感じるのは当然だったのでしょう。「困らせたかったんじゃなくて、私に気付いてほしかったんだ」そう思えた私は、それからどんなに忙しくても、1日に少しだけでも長男と2人きりで過ごす時間を作るように。
下の子のお世話で手が離せない時も、「待ってて」だけではなく、「終わったら一緒にブロックで遊ぼうね」「あとでぎゅーしようね」と、必ず約束を伝えるようになりました。
息子が教えてくれたこと
すると少しずつ、長男のいたずらは減っていきました。今では弟が泣いていると、「ママ、赤ちゃん泣いてるよ」と教えてくれる頼もしいお兄ちゃんです。
あの頃は、なんでわざと困らせるんだろうと悩んでいました。でも、本当は私を困らせたかったんじゃなくて、私に気付いてほしかっただけ。
2人育児は、お世話が2倍になるだけではありません。上の子の小さな寂しさにも目を向けることの大切さを、息子から教えてもらった出来事でした。
【体験者:30代・会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:中條みき
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。
