当たり前じゃない
その言葉に、私は夫を事故で失った日のことを思い出しました。毎日「ただいま」と帰ってくるのが当たり前だと思っていたのに、二度と戻らなかった夫。あの日、当たり前は当たり前ではないと胸に刻んだはずなのに、忙しい日々に追われ大切なことを忘れていたのです。
私は涙ぐみながら「当たり前じゃないね。ごちそうさまって言える心、空腹を満たす食べ物があること、健康な体があること、全部素晴らしいことなんだよね」と伝えました。
ほめる育「自」
二人は理解しきれない様子でしたが「これからはママをたくさんほめるね」と笑顔で言ってくれました。
「お仕事がんばってえらいね」「毎日会社行っててえらいね」「私達も毎日学校行っててえらいね」「宿題も毎日がんばってるからえらいよね」「言われなくても手洗いしてるのもえらいよね」と次々にほめ合い、最後には「結局自分のことばっかほめてるね」と笑い出す二人。そんな二人を見ていた私も、気づけば涙から笑顔へ変わっていったのです。
これからは娘たちだけでなく、自分自身もほめてあげよう。そして「当たり前じゃない日常」に感謝しながら生きていこうと改めて心に誓いました。
近年よく耳にする「自己肯定感」。特別なことをしなくても、日々の小さな感謝を積み重ねることで自然と高まっていくのかもしれません。忙しい時にこそ、当たり前を見直す機会を持ちたいものです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。
