毎朝行われる“ありがたい朝礼”
以前勤めていた会社では、始業時間は9時なのに、なぜか毎朝8時45分から朝礼が行われていました。しかも「朝礼前には着席済み」が暗黙のルールで、実質強制的に毎日8時半には出社していましたが、もちろん残業代はつきません。
さらに不思議だったのが朝礼の内容。近所のお寺から毎月配られる“お説法冊子”を、当番制で1人1ページ読み上げ、最後に感想まで発表するという謎システムでした。
誰も疑問を口にできない
正直、みんなそこまで興味はなく、眠そうに棒読みする人、「今日の感想どうしよう……」と朝から憂うつそうな人も多かったです。私自身も、“なんで仕事前に宗教っぽい話を読まされてるんだろう……”とモヤモヤ。
ただ、長年続いている空気があり、誰も疑問を口にできなかったのです。毎朝25人近い社員が集まり、誰も納得していない空気のまま“ありがたい話”を聞いている光景は、今思い返してもかなり独特でした。
新課長のストレートな疑問
そんなある年、別部署から新しい課長が異動してきました。数日後ついに、「なんで関係のないお寺の冊子を、わざわざ早く来て読み上げてるの?」とストレートに質問。ところが、長年当たり前になりすぎていたせいで、逆に誰も答えられません。
さらに課長は、「業務準備や情報共有ならわかるけど、これは会社として必要?」と冷静に指摘。まさにみんなが薄々感じていたことでしたが、誰も口にできなかった言葉でした。
“昔から”が変わった日
その後、朝礼内容は見直され、お説法の読み上げ文化は終了。朝礼自体も短縮され、“始業前集合”の空気も無しに。
もちろん長年続く習慣にも意味がある場合はありますが、「昔からやっている」は思考停止の理由にもなってしまいます。外から来た人の感覚や、“それ本当に必要ですか?”と言える人の存在は大事なんだと思わされた出来事です。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2019年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:橘 りお
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

