私の夫を「パパ」と呼び始めたママ友
私には、はるかちゃん(仮名)というシングルマザーのママ友がいました。子ども同士が仲良しということもあり、家に遊びに来ることも多く、最初は普通に仲の良いママ友関係でした。しかし、ある日を境に状況が変わります。
きっかけは、私の夫も交えて行ったBBQ。その日以降はるかちゃんは「夫がいるタイミング」を狙って家へ来るようになったのです。しかも話しかける相手はほとんど夫。
夫はもともと愛想が良く頼まれると断れないタイプで、 時々私の方も気にかけてくれるのですが、そのたびにはるかちゃんが会話を遮ってくる、そんな状態が続いていました。そしてある日、ついに違和感が確信へ変わります。
はるかちゃんが夫のことを「パパ」と呼び始めたのです。わざわざ家から電池切れのおもちゃを持ってきて、「パパ〜、これ電池替えて〜」と甘えるように頼む姿に、私は内心かなりモヤモヤしていました。
プールで見た「あからさまな行動」
決定打になったのは、みんなでプールへ行った時でした。はるかちゃんから「大人の手が多く欲しいから、旦那さんも一緒に来てほしい」と言われ、夫も連れて行くことに。そこに現れたはるかちゃんは、かなり大胆なビキニ姿。スタイルも良く美人だったため似合ってはいたものの、夫は目のやり場に困っていました。
ですが問題はその後。スライダーに並んでいた時、はるかちゃんが突然、考える暇も与えず夫の腕を引っ張り、そのまま一緒に滑って行ってしまったのです。しかも並び順は、夫とはるかちゃんが隣で密着するかたち。あとから滑り降りた私と娘に向かってはるかちゃんは「ごめんごめん! 順番間違えちゃった〜! 」と悪びれもなく話してきました。
その時の娘の、パパと滑れなかったことでしょんぼりして悲しそうな顔を見た瞬間、私の中で何かが限界を迎えたのです。
ママ友に相談すると……
その後、雑談の流れで別のママ友に、はるかちゃんとその娘ちゃんが夫を「パパ」と呼ぶこと、娘が「私のパパなのに」と悲しんでいることについて相談しました。すると後日、ママ友は周囲にこの話をしてしまったようで、あっという間に知れ渡ってしまいました。
そしてある日の学校行事。いつものように、はるかちゃんが笑顔で夫に向かって「パパ〜!」と駆け寄ろうとした瞬間。横から現れたのは、ボスママ的存在の本田さん(仮名)。本田さんは、正義感が強く、言うべきことはハッキリ言うタイプ。そして周囲が静まり返る中、はるかちゃんに向かってこう言ったのです。
「はるかちゃん、この人はまほちゃんの旦那さんよね? 学校でもそんな呼び方してたら、変な噂立つわよ。それに子どもが白い目で見られることもある。悪いこと言わないから、“人の旦那”をパパって呼ぶのはやめた方がいい」突然の注意に、はるかちゃんは明らかに動揺していました。
夫が初めてハッキリ言ってくれた
さらにその時、今まで黙っていた夫も口を開きました。「はるかさん、今まで言いづらくて黙ってたんだけど……娘が悲しんでるから、「パパ」呼びはやめてもらってもいいかな?」その言葉に、はるかちゃんは顔を真っ赤にしながら「わかりました!」とだけ言って、その場を去っていきました。
後から本田さんにお礼を伝えると、本田さんは呆れたように「あの子、絶対旦那さん狙ってたでしょ。 ああいうことされると、真面目に頑張ってるシングルマザーまで変な目で見られるのよ。だから釘刺しておいたの」と……
戻ってきた平穏な日々
その後も、はるかちゃんは学校行事で夫に話しかけようとしていましたが、周囲にヒソヒソされ少しずつ距離を取るようになり、気づけば自然とフェードアウト。後から聞いた話では、新しい彼氏ができたらしく、私の夫への執着もなくなったようです。
あのとき、本田さんがズバッと言って助けてくれたことにはもちろん感謝しています。ですが何より嬉しかったのは、いつも優しくて断れないタイプだった夫が、私と娘のために勇気を出してハッキリ「NO」を言ってくれたこと。その一言で、改めて「この人と結婚してよかった」と感じることができました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:タカダ ミオ
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

