人気のDIYコーナー
昨今のDIYブームで興味を持つ人が増え、材木などを購入していくお客さんも多く、店舗内のDIYコーナーは人気エリアになっていました。
ある日仕事をしていると、50代くらいのマダムに「棚を自分で作ってみたい」と声をかけられ、DIYコーナーへ案内。木材や初心者向けの商品などひと通り説明し、その場を離れました。
求められた“全部サポート”
しばらくすると、また同じマダムに呼び止められます。マダムは「やっぱり自分で作る自信がないから、作り方を最初から全部教えてほしい」と言い出しました。
しかし店舗では、木材をカットするサービスなどはあるものの、DIY作品の作り方を一から個別にレクチャーするようなサービスは行っていません。そのため、私は丁寧に事情を説明。するとマダムは「売るだけ売って作り方は教えてくれないの? 不親切ね」と不満そうな様子を見せ始めます。
空気が変わった一言
さらに「DIYコーナーがあるなら、初心者にもちゃんと教えてくれるべきじゃない? 私みたいに不安な人もいると思うわ」と不満が募っていき、私も対応に困っていました。
そんなとき、近くで商品を見ていた小学生くらいの男の子が、マダムに向かってぽつりと言います。「え、DIYって自分でやるからDIYなんじゃないの?」
その場が一瞬しんと静まり返り、マダムも「あら……そうね……」と急におとなしくなりました。
見えてきた本音
その一言で場の空気はすっかり落ち着き、マダムはそのあと静かに商品を選び始めました。
DIYに挑戦したい気持ちがあっても、その趣旨とは異なり“誰かに完成まで面倒を見てほしい”という思いが強いお客さんもいるのだと驚きました。
思わぬところから核心を突かれることもあるものだと、印象に残った出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2021年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Rio.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

