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これは、私の職場の先輩・田中さんから聞いた話です。淡々と語ってくれましたが、最後まで聞いたとき、私はしばらく言葉が出ませんでした。あれは「見間違い」で片づけていい出来事だったのか……。今回は、田中さんが今でも鮮明に思い出すというエピソードをご紹介します。

真っ暗な帰り道で

その日、私は長時間の残業を終え、ようやく帰路についていました。あたりは真っ暗。田舎道で街灯も少なく、頼りになるのは車のヘッドライトだけ。疲れもあり、しかもいつも通る慣れた道。早く帰りたかったのもあって、少しスピードを出していたかもしれません。

まっすぐな一本道を走っていると……突然、目の前に小学生くらいの男の子が飛び出してきたのです!

轢いてしまった……そう思ったのに

私はとっさに急ブレーキを踏みました。けれど、完全に止まりきれた自信はありませんでした。衝撃は感じなかったものの、「轢いてしまった」と思った瞬間、血の気が引き、パニックに。真っ青な顔で車を降り、震える手で周囲を探しました。

しかし、どこにも男の子の姿がありません。道はまっすぐで見通しもよく、遮るものもほとんどない場所です。もし飛ばされていたとしても、隠れる場所などありません。パニックになりながらも警察と救急車を呼び、状況を説明。

駆けつけた警察官と救急隊員も一緒に周囲を探しましたが、男の子は見つかりませんでした。車にも接触した形跡はなし。最終的には「疲れていたので、見間違いだったのでは」という結論になり、その場は解散となりました。

消えない不安

ですが、私の不安は消えませんでした。「本当に見間違いだったのだろうか」「もし誰かが倒れていたらどうしよう」一晩中そのことが頭から離れず、翌朝、もう一度現場へ向かうことに。

朝の光の下で見る一本道は、昨夜よりずっと穏やかに見えました。それでも胸騒ぎはおさまりません。そして、例の場所に差し掛かり……私は衝撃的なものを目にしたのです。

そこにあったもの

昨夜男の子が飛び出してきたあたりの道路脇に、枯れた小さな花束と錆びた缶ジュースが置かれていました。明らかに新しいものではなく、時間が経っているとわかるお供え物。そこが事故現場だったことを示すように、ひっそりと置かれていました。「私が見た男の子は、もしかして……」そう思った瞬間、背筋が凍りました。

結局、あの夜に現れた男の子は見間違いだったのか、それとも……。答えを知るのも恐ろしく、今でも正体はわからないままになっています。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2020年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

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