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本屋でアルバイトをしていると、意外な“名物”があるそうです。それが、定期的にかかってくるという「とあるジャンルに偏った商品の在庫確認の電話」。これは、学生時代にCDやDVDも扱う書店で働いていた、私の姉から聞いたエピソードです。

学生バイトの間で有名な「要注意客」

私の働いていた本屋では、女性スタッフが電話に出ると高確率で遭遇するという、ある常連の電話がありました。内容は決まって、アダルト系DVDのタイトルの在庫確認。

その人物は、実際に商品を買いに来ることは一度もなく、「女性店員にタイトルを復唱させること」だけが目的だと、スタッフの間では知られていました。その日も、いつものように電話が鳴りました。

「聞き取れなくて……」から始まった違和感

電話に出たのは私でした。相手は早速、「人妻の〇〇、女子アナ〇〇というタイトルのDVDはありますか?」と尋ねてきます。ところが声が途切れ途切れでよく聞こえません。「すみません、お客様……電波が少し悪いようで、聞き取れなくて……」と、あくまで丁寧に聞き返しました。

すると相手は、少し大きな声で同じタイトルを復唱。それでも聞こえず「申し訳ありません、もう一度よろしいでしょうか」と対応。この時点では私もまだ「例の人」だとはわからず、本当に聞こえなくて聞き直していました。

ゆっくり、はっきり……で確信

何度か同じやり取りを繰り返すうちに、相手は一語一語を区切るように、ゆっくり、はっきりとタイトルを口にするようになりました。その話し方で、私はようやく気づいたのです。「あ、これは……あの有名な人だ」と。

相手の目的が在庫確認ではないと分かった瞬間、即座に対応を切り替えました。

「かしこまりました! では」で終わった電話

私は明るい声で、「かしこまりました! では、売り場担当の者に代わりますね」と言い、横にいた男性スタッフに電話を引き継ぎました。すると電話の向こうから聞こえてきたのは、疲れ切ったような声での一言。「今日は……もういいです!」そう言って、相手は電話を切ってしまいました。

女性店員に言わせることが目的だった電話は、男性スタッフに代わった途端あっけなく終了。この後「このような問い合わせがあった場合は即座に男性スタッフに引き継ぐ」というマニュアルもでき、困った迷惑電話の回数も減ったのでした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2019年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

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