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会社員にとって昇進はうれしいものですが、部下それぞれの事情に配慮しながらチームをまとめる難しさに直面します。今回は、係長に昇進した私の知人・佳菜さん(仮名)が、女性社員の多い職場で理不尽な叱責を受けながらも、思いがけない形で事態が動いた出来事をご紹介します。

係長昇進と複雑なチーム事情

私は、6名の部下を持つ係長に昇進したばかりでした。部下は20代から30代の女性で、そのうち2人が未就学の子どもを育てるママさんで時短勤務。さらに1人が妊娠中で、体調を最優先にするよう本人に伝えていました。私自身、産休・育休を経て復職した際に、上司や同僚に支えてもらった経験があるので、ママ社員たちをできる限りサポートしたいと考えていたのです。

もちろん、他のスタッフに負担が偏れば、不満につながります。そこで私は、フルタイム社員にママ社員の業務を割り振ることはせず、自分が仕事を引き取りつつ、業務の効率化や削減を進めていました。チーム全員のワークライフバランスを維持したかったからです。

課長からの呼び出し

そんなある日、直属の上司である課長から突然呼び出され、開口一番、「お前、部下の管理はどうなっているんだ!」と、いきなり怒鳴りつけられたのです。

どうやら、私の部下の一人である谷川さん(仮名)が、「時短社員や妊娠中の社員のしわ寄せで業務負荷が高い」と課長に訴えたことが原因だとわかりました。谷川さんは課長のお気に入りとして知られる社員でした。

「降格させるぞ」という恫喝

私は、谷川さんにはママ社員の業務を割り振っていないこと、残業もほとんど発生していないことを説明。しかし課長は、「残業がないのは彼女が優秀だからだ」と言い切り、私の話に取り合おうともしません。「適正な業務配分もできないなら、降格させるぞ」声を荒げる課長の言葉に、これ以上話しても平行線だと感じました。

部下の半数が残業不可であることは、私の管理不足ではありません。その前提を知りながら、私自身の業務負荷が増えている状況を見過ごしているのは誰? そんな思いが頭をよぎりましたが、ここで反論しても無駄だと判断し、私は黙ってその場を後にしました。

人事部が動いた理由

それからしばらくして、思いがけない事態が発生。課長に関するパワハラの密告があったとして、人事部から事情聴取を求められたのです。密告者は不明でしたが、課長は他部署の社員に対しても、ミスを理由に執拗な叱責メールを送っていたそうです。私は、自分が受けた恫喝を含め、これまでの不当な言動を包み隠さず伝えました。

ほどなくして課長の降格人事が発令されました。自分を脅した上司が、自らのパワハラによってあっけなく職を失うという劇的な展開に驚くばかり。閑職に左遷された彼は、まるで別人のように大人しくなったと後から聞きました。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2020年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。

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