たまたまの取引先での恒例行事
金融業界すべてに当てはまる話ではなく、あくまで私の当時の担当取引先での話です。年末年始の挨拶回りは若手女子の間で“ブラックコーヒー耐久レース”として知られていました。理由は分からないものの、出てくる飲み物はほぼ100%ブラックコーヒー。砂糖やミルクは都市伝説レベルで、最初から選択肢はありませんでした。
新人に課される無言のルール
新卒時代、年始の挨拶で1日に13件回れば、13杯のブラックコーヒーが自動的に配給されます。新人は当時、「客先で出たものを残すのは禁物」と教えられ、飲めなくても胃袋に流し込むのが当たり前でした。
常務や支店長、支社長が横一列に座っている場で、「コーヒーが飲めません」「ミルクをください」と言える空気はなく、上下関係と業界の雰囲気はブラックコーヒー以上に苦かったです。
体調より優先されるもの
当時は今ほど配慮もなく、運悪くカフェイン過敏症の私は「飲めない」とは言えず、黙って飲み続けていました。午後になると手が震え、吐き気がしても笑顔をキープ。「忙しいのに体調を崩す人」と思われたくない気持ちが先に立ち、助けを求める選択肢は浮かびませんでした。
学んだのは別の怖さ
その日の夜には完全にダウンし、結果的に胃腸炎コースへ。それでも当時は「自己管理できなかった自分が悪い」と反省してしまうのが切ないところです。
保険のプロとして日頃はリスク管理を仕事にしているのに、自分の体調リスクだけは後回し。結局学んだのは、ブラックコーヒーより怖いのは「言い出せない空気」だということでした。無理は禁物です。胃袋は替えがききません。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

