~~~~~~~~~~~ ~~~~~~~~~~~
私が旅行会社で勤務していた時、15年ぶりに仕事に復帰したパート社員がいました。元ベテランとしてのプライドを捨てる事が出来ない様子の彼女は、ついに大きなトラブルを巻き起こしてしまい……。

“元ベテラン”のプライド

私が働く支店に新しくパートの花岡さん(仮名)が入社しました。結婚と出産を経て、15年ぶりの仕事復帰でした。以前は同業他社で10年以上働いていたそうで、「私の頃はこうだった」が口癖。

最初こそ歓迎ムードでしたが、「ベテラン風」を吹かせる言動に、やがて周囲も困惑していったのです。

「だいたいわかる」と教わらない新人

花岡さんのOJT担当は、一回り以上年下の社員でした。花岡さんに端末操作の指導をしても、「だいたいわかるから大丈夫よ」と、自己流でやろうとします。端末は15年前とは大幅に変わっており、昔の知識が役に立つはずもありません。案の定、ミスが続出。トレーナーがチェック担当者から何度も指摘を受けることになったのです。

それでも花岡さんは態度を改めません。そればかりか、「旅行の知識は私の方が上」と言わんばかりに、トレーナーを見下すような発言を繰り返し、ついにトレーナーが「これ以上指導をしたくない」と言い出す始末。職場の雰囲気も悪くなり始めていました。

お客様からのクレーム

ある日、花岡さんが担当したお客様から「希望と違う宿を勧められて行ってみたが、どれも良くなかった」とクレームが入りました。支店長が詳しくお話を伺うと、確かにお客様が最初に希望していた宿の方が評判の良いところばかりでした。

支店長が花岡さんに事情を聞いたところ、驚くべき事実が判明したのです。花岡さんは15年前の知識で「お勧め宿」を紹介していたのでした。確かに昔は評判が良かったけど、今では施設が古くなり評判も落ちてしまった宿ばかり。お客様のご立腹も当然でした。

支店長の厳しい一言

支店長は花岡さんに向かって、ピシャリとこう言いました。「15年前の知識は、今では“ない”のと同じです。もう一度、基本から勉強してください」その言葉に花岡さんは真っ青になり、何も言えませんでした。

それ以来、彼女の「自信満々な態度」はすっかり影を潜め、トレーナーへの態度も一転。メモを取りながら真剣に耳を傾けるようになったのです。ずいぶん時間はかかりましたが、お客様のクレームと支店長の一言が、彼女に大切なことを気づかせてくれたのでした。

【体験者:60代・女性会社員、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。

This article is a sponsored article by
''.