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家計の節約は経験がある人が多いかもしれませんが、会社の節約を担当したことがある人が少ないのではないでしょうか。トップダウンの指示で突如始まった「節約推進プロジェクト」。今回は、その推進役になった私自身のエピソードです。

突然の節約プロジェクト始動

英会話学校の総務部で働いていた時、社長発案の「節約推進プロジェクト」が突如始まり、私はその推進役を任されることになりました。
毎月、各部署に実績報告のアンケートを送り、不明点は電話や対面で確認し、効果測定をして社長に報告するのが私の役割でした。

拡大する現場の温度感

突然の開始に、現場では戸惑いの声も上がりました。それでも協力的な部署は次々とアイデアを出し合い、節電や紙の削減といった取り組みから始まり、やがて業務手順の見直しへと発展するなど、着実に成果を上げていきました。

一方で「忙しくてアンケートに答える余裕はない」「特に何もしていないから回答できない」と、非協力的な部署もあり、遠回しに「総務は暇でいいね」という空気も感じられるようになったのです。そうした部署には、社長が率先して取り組んでいることやプロジェクトの目的を伝え続けましたが、温度差は大きくなるばかりでした。

賞金30万円、自由な使い道が生んだ転換

開始から半年後、社長がプロジェクトの総括を発表しました。最も成果を出した部署には30万円の社長賞が贈られ、しかも賞金の使い道は「自由」ということに社員たちは驚きました。
非協力的だった部署からは「節約したお金を賞金にするのは本末転倒では?」 と反発の声が上がりましたが、社長は「無駄を削り、価値あることに使うのは正しい」ときっぱり答えたのです。

その後、受賞部署は賞金で打ち上げをするかと思いきや、高性能のカラープリンターを購入し、外注していた製作物の費用をさらに圧縮しました。

浸透した意識と、未来へつながる節約

この事例を社内へ展開すると、これまで消極的だった部署からも節約の報告が寄せられるようになりました。節約が単なるコスト削減ではなく、新たな価値を生み出す可能性があると理解されたようでした。

やがて節約の意識と仕組みが全社に根付いたことを見届け、プロジェクトは終了。振り返れば、社長賞はただのご褒美ではなく、社員の意識を変えるための転換点だったのだと思います。
節約を単なる「削減」ではなく「未来への投資」と捉えた時、日々の小さな工夫の積み重ねも、明日への種まきのように感じるようになったのです。

【体験者:60代・会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Sachiko.G 
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。

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