お釣りが足りない!
ある日、いつものように出勤してレジを担当することになった私。ふとレジを開けてみると、100円玉と1,000円札が底をつきかけているではありませんか。
お店の近くには銀行もなく、すぐに両替に行ける状況ではありません。前日に店長が両替を忘れてしまったようで、予備のお金すら残っていないという大ピンチに……。
思わず帰りそうになるお客さん
お客さんに「お釣りが細かくなってしまうかもしれません」と伝えると、「じゃあ、やめておこうかな……」と商品を戻しそうに。
私ではどうしようもできないもどかしさに加え、焦りと申し訳なさで胸がいっぱいになり、冷や汗が止まりませんでした。
助け船を出してくれた人たち
そんな時、後ろに並んでいたお客さんたちが次々に声をかけてくれたのです。
「100円玉、何枚か持ってるよ」「1,000円札ならあるわよ!」と、それぞれが足りない分を差し出してくれ、自然とその場が助け合いの空気に包まれました。怒る人は1人もおらず、むしろ協力し合う連携プレーに私は感動してしまいました。
優しさから学んだこと
翌日、店長に状況をきちんと報告し、釣り銭が切れないようにルールを見直すことに。もちろん改善が必要な問題でしたが、それ以上に「こんなに優しい人たちに支えられているんだ」と心からありがたく感じました。
そんなお客さんの温かさを忘れずに、これからは私自身も周りを助けられる存在でありたい……そう思えた出来事でした。
【体験者:30代・飲食店勤務、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

