普段から頼りない次長
私が保険会社で働いていた頃の話です。次長は、普段どんな仕事をしているのか誰にもわからず、面倒なことは「後輩の成長のため」と言って、人に押し付けていました。何か相談しても「難しい問題だね」「様子を見よう」といつも同じ返答。
しかも、1時間に1回は必ずたばこ休憩に行き、15分は帰ってこないのが日常でした。会議で決めた仕事も、次の週に聞くと「忙しくてできていない」ことばかり。
そんな姿に、チーム全員が頼りなさを感じていました。
アンケートの時期だけ見せる親切心
そんな次長が急に態度を変えるのは、年に一度の部下による上司評価アンケートの時期でした。
そのときだけ「何でも相談してね」「残業多そうだけど大丈夫?」と声をかけ、お菓子を配って回るのです。
本人は「高評価間違いなし」と信じて疑っていないようで、上司に「部下のアンケート結果が楽しみだ」とまで話していました。
評価が成績に反映されると知っての行動でしたが、そのあからさまな態度は悪目立ちしていました。
部下たちの本音
アンケートには「リーダーシップを発揮しているか」「問題解決に取り組んでいるか」など、日頃の態度を問う項目が並んでいました。
匿名回答だったこともあり、部下たちは口裏を合わせたわけでもないのに自然と「いいえ」を選択。さらに自由記述には「アンケートの時期だけ白々しく声をかける」「お菓子を配る」と具体的に書かれてしまいました。
そんな結果を受け取った次長は、「なんでこんなに親切にしているのに評価が低いのかわからない。若い子は人を見る目を養うべきだ」と不満を漏らしていました。
偽善の結末
アンケートの結果は、普段の姿勢がそのまま浮き彫りになるものでした。誠実に働くメンバーの存在感が際立ち、次長のごまかしは逆効果となったのです。
結局、日頃の行動こそが人の評価を決めるのだと実感した出来事でした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2021年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有
名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

