従業員の接客態度も注目されるテーマパーク
あるテーマパーク内のレストランでアルバイトをしていた頃のことです。このテーマパークは、乗り物やグッズのみならず、従業員の接客態度も大きな売りにしており教育にも力を入れていました。お客様の笑顔を心から喜べる人が多く働いていて、「リクエストには全力で応えたい」「楽しんで帰ってもらいたい」という思いが強く、お客様からの期待値が高いことも自負していました。
驚きのリクエストの数々
そうした環境のなかで、日々驚くようなリクエストを受けることがありました。「今日誕生日なのでケーキを無料でもらえますか?」「誕生日なのでグッズを(無料で)ください」「友達の誕生日なのでメッセージ付きのバースデープレートを出してください」など、「よく思いつくなぁ」と思ってしまうようなリクエストが次々飛んできます。普段からお客様の要望に応えたい気持ちはありましたが、正直ハードルが高いものも多くありました。
レストランで洋服一式?! 内心のツッコミと冷や汗
中でも驚いたのは「子供がジュースをこぼして服が汚れたので、子供服を一式もらえますか?」というリクエスト。心の中で「ここレストランだし、服は服屋で買わないとね……」と突っ込みを入れてしまいました。もちろん「無料での提供はできないんです」と丁寧に説明し、衣類を販売している店舗を案内しましたが、その瞬間は「ちゃんと笑顔で接客できただろうか?」と冷や汗が止まりませんでした。接客の裏側では、表には出さない“ヒヤッ”とする出来事が実は次々と起こっていたのです。
無理難題から得た学び
それでも、そんな無理難題に出会うたび、周りの従業員と相談しながら「どうにか叶えてあげられないか」と一緒に考えました。ただ突っぱねるのではなく、少しでもお客様に笑顔で帰っていただきたい一心だったからです。
まるで1000本ノックのように難しいリクエストが次々に降りかかり、戸惑うことも多くありました。それでも知恵を絞り工夫を重ねた経験は、今振り返ると自分の接客の原点であり、大きな財産になっています。
【体験者:20代・女性学生、回答時期:2012年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。