ホームセンターのレジで
ある日、ホームセンターに来店したのは1人の女性のお客さん。カートに大量の商品を乗せて、レジにやって来ました。
商品が大量なことに加えて、他のお客さんもレジに並んでいるので、「お待たせしすぎないように、テキパキと頑張らなきゃ!」と思いました。
気まずそうに伝えるお客さん!
しかし、私が商品をスキャンしている途中で、女性は「すみません、ここで一旦商品スキャンするのをやめていただけないですか……」と気まずそうに伝えてきたのです。
お会計を途中で中断することはなかなかないので、スキャンを止めてもらえないか確認されて、私は一瞬びっくりしました。
「申し訳ありません、今現金が5千円しかなくて……。申し訳ないです」と女性は続けました。
私はすかさず、「いえいえ、とんでもないです。では、こちらの未会計の商品は当店で売り場に戻しておきますね!」と笑顔で伝えました。
すると、その女性は「全て購入したいので、戻さずサービスカウンターに取り置きしておいてもらえないでしょうか? 家に帰ってからすぐにまた来ますので! お願いします」と言いました。
お客さんの正体とは!?
数時間後、女性がサービスカウンターに取りにきました。
「実は、最近この近くに引っ越してきまして。初めてこちらのホームセンターに買い物に来たんです! そしたらテンションが上がってしまって、あれもこれもとカートに入れていたら予算オーバーしてしまって……。こんな迷惑なお客さんにもしっかり対応してくださり、ありがとうございました。絶対にまた買い物に来ますね!」と女性は笑顔で感謝を伝えてくれました。
数日後、休憩時にSNSを見ていると、私の働くホームセンターを絶賛する投稿をたまたま発見! フォロワー数も多いインフルエンサーのアカウントのようでした。嬉しい気持ちでアカウントのプロフィールを開いてみると、なんと先日の女性のお客さんだったのです!
その日以来、「SNSを見て来ました!」と来店するお客さんも増え、おかげで売り上げが伸びていきました。
どのような時でも丁寧な接客を
店内が混雑していると、焦りから接客が雑になってしまうことも多々あるかと思います。しかしそんな時でも、お客さんに寄り添って接客することを意識していたので、そんな日頃の努力が報われたような気がしてとても嬉しく感じました。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2021年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。