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接客業をしていると、思わぬトラブルに巻き込まれることがあります。ときには、丁寧な接客や笑顔が思いがけずお客さんを勘違いさせてしまうことも……。今回は、新人スタッフさんがお店で巻き込まれてしまった恐怖体験をご紹介します。

やる気があって頑張り屋さんな新人スタッフ、Mさん

私が独身時代に働いていた下着屋さんで、別の店舗のスタッフから聞いた話です。

そのお店には、新人のMさんという愛想が良くて頑張り屋さんなスタッフがいました。慣れない接客も一生懸命で、周りの先輩たちからも「応援したくなる子だね」と温かく見守られていたそうです。

Mさんに接客され、お店に通うようになった男性客

ある日、そのお店に30代くらいの男性のお客さんが来店しました。メンズ商品も扱っている店舗だったので、男性客が来ること自体は珍しくなかったのですが、その男性はどうやらMさんを気に入った様子。それからというもの、頻繁にお店に顔を出すようになりました。

初回以降は商品を買うこともなく、どう見てもMさんと話すためだけに通っている感じ。Mさんがその男性に対応している間は当然、他のお客様の接客ができなくなってしまいます。先輩たちも、Mさんにレジをお願いするなどして男性と距離を取らせようとしたのですが、男性はそれでも粘って待ち続ける始末。

そんなことが続いたある日のこと。Mさんはいつもやってくる時間に男性の姿が見えず、ほっと胸を撫で下ろしていました。ところが、店内から少し離れたところに目をやると……なんと男性が、Mさんの方をじっと見ていたのです。

それ以降、Mさんはその男性に恐怖を感じるようになってしまいました。

先輩スタッフは連携してMさんを守るように

その後、先輩たちはその男性が来るたびにMさんをバックヤードへ避難させることに。しかし男性はお構いなしに、Mさんは今日いるのか、いつ休憩から戻るのか、シフトを教えてほしいとまで言い出すようになったそうです。

もう完全にストーカー状態。先輩たちも「これはマズイな」と感じ、Mさんが男性と接触しないよう、本社や館内の事務所に話を通して警戒するようになりました。

恐怖のさなか、事態が一変する事件が発生

そんな中で事件が起こります。男性が、鬼のような剣幕の女性に連れられてお店にやってきたのです。

その女性はなんと、男性の奥さんだというのです。驚きながら先輩が話を聞いてみると、最近男性の帰宅が遅く、浮気を疑った奥さんが尾行した結果、このお店に通っていることがわかったとのこと。

奥さんはさらに、「最初は浮気を疑っていたんです。でも遠くからお店の様子を見ていたら、他の店員さんがMさんをバックヤードに隠す場面を見かけて。それで浮気ではないと確信しました」と続けました。

実はこの男性、以前にも似たようなことをしていて、別の女性店員さんを怖がらせてしまい、その方が退職する事態にまでなったのだそう。奥さんにしっかり叱られた男性は、肩を落としながら「もう来ません」と約束し、Mさんへの謝罪の言葉を残して帰っていきました。

助け合いで築く職場の絆

Mさんはしばらくの間、また例の男性がお店に来ないか不安で怯えた様子だったそう。しかし周りの先輩たちがMさんのことをしっかり守り、そのおかげでMさんも辞めずに働き続けることができたそうです。

私自身もお店に立っていたので、接客業にこのようなトラブルがあることは身をもって知っています。だからこそ、今回の話を聞かせてくれたスタッフのお店のように、私の職場でも何かあれば一丸となってケアしてあげなければいけない。改めてそう感じた出来事でした。

【体験者:20代・販売員、回答時期:2012年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

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