ホームセンターの企画
これは、私がホームセンターで勤務していた時の出来事です。その会社では、会員限定の特別企画などによって、商品の価格が時期により変わることが多々ありました。
そしてその時期に起こりやすいのが、“従業員による値段の取り忘れ“です。この場合どんなトラブルが予想されるかというと、お客さんが商品をレジで通した際に、「売り場の値段と実際の値段が違うじゃないか!」というクレーム。
店員側としても最新の注意を払っていますが、時折このようなミスが起こることは、常に心に留めていました。
値段が違う!?
その日も特別企画により、店内一部の商品の価格が安くなっていました。
すると、「最近取った写真と商品の値段が違う!! もっと安かっただろ!」と座椅子商品のエリアで激怒する男性客を見かけました。
この対応をしていたのは、インテリア売り場担当の武井さん(仮)。男性客は座椅子の値段が書かれたポップの写真を、「ほら、値段が違うだろ!」と大きな声を出しながら彼女に突き付けています。
武井さんが写真を確認すると、確かに写真に写っている商品の値段と、現在の値段は異なっていました。しかし、あることに武井さんは気が付いたのです。
購入したのは!?
武井さんは、穏やかな口調でこう答えました。
「お客様、こちらのお写真はいつ頃撮影されましたか?」
すると男性客は少し考え込み、「......1か月前くらいかな」と言いました。
すると、男性客が急に「あっ!」と小さな声で叫びました。
武井さんがどうしたのか聞いてみると、なんとその写真が撮られた日付は、“1年前”だったのです。
クレームを入れる前に
「お客様、こちらの写真は1年前に撮影された物ですね。恐れ入りますが、そのため値段は現在と異なります」と武井さんは優しく説明をしました。
男性客も自分の勘違いに気が付き、「1年も前のことだったのか。てっきり最近の事だと思っていたよ。月日が経つのは早いね。大きな声を出して、悪かった」と恥ずかしそうに顔を赤くしていました。
店舗側のミスで価格が違うとなることもありますが、このようなお客さん側の勘違いも時々あります。気持ちよく店を利用をするためにも、何かあったらまずは自分自身できちんと事実を確認をしてから問い合わせるのがおすすめです。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2021年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。