体格のいい男の子二人が追いかけっこを始め……
私が某ショッピングセンターの服屋で働いていた時の話です。そのお店は敷地が広く、キッズ商品も取り扱っていたので、元気なお子さんが来ることは珍しくありませんでした。
その日は店内に小さなお子さんもいる中、小学校中〜高学年くらいで体格のいい男の子二人が追いかけっこを始めてしまいました。すごいスピードで走り回るため、棚にぶつかりそうになり、商品の陳列は乱れ、壁に付いている鏡に勢いよく手をついて「ガンッ」と音を立てる場面もありました。
鏡が割れてケガをしないか、他のお客様に迷惑がかからないか、ずっと心配でたまりませんでした。
追いかけっこでは飽き足らず、お菓子やジュースとやりたい放題!
その上、男の子たちは手に持っていたお菓子をポリポリ食べたり、ジュースを飲みながら店内を駆け回ったりして、床にはお菓子のカスやジュースがこぼれる始末。
私たちスタッフはそのたびに床を掃除し、商品を元に戻すの繰り返し。男の子たちは何度注意をしても、数秒後には追いかけっこを再開していました。
親御さんはどこにいるのだろうと見渡してみると、店内でのんびり買い物を楽しむ女性が。時折男の子たちに声をかけられていて、どうやらこの女性が保護者のよう。それでも、特に注意する様子はありません。
「これ以上続くなら、直接親に注意するしかない」と思っていたその時、ようやくその女性がレジに来ました。そして、男の子たちも後ろについてきました。
ようやくレジに来た保護者の女性。まさかの発言に驚愕
レジでのやり取り中、女性から発せられた言葉に耳を疑いました。
「私、この施設の従業員なんですけど、従業員割引してくれません?」
従業員証を確認してみると、彼女は確かに同じ施設内の違うフロアにある、服屋の店員さんだったのです。同業者であれば、子供が店内を走り回ることがどれだけ危ないか、そして他のお客様やスタッフにどれほど迷惑をかけるか分かっているはず。それなのに、全く注意をしていなかったのです。
店内はまるで嵐が去った後
その家族が帰った後、店内はぐちゃぐちゃで乱れ放題。
「同業者なんだから、他のお客様やスタッフのことを思いやってくれても……」と、もやもやした気持ちの後片付け。今回のことを反面教師に、「他のお店で買い物をするときは、できる限りの配慮をしてあげたい」とも思った出来事でした。
【体験者:30代・販売員、回答時期:2023年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Mio.T
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。