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筆者がホームセンターで勤務していた時のことです。ある日、「見積もりは要らないから、すぐに家をリフォームして欲しい」とご要望のお客さんがやってきました。見積もりを出し、値段を見てから決めるのが一連の流れ。ですが、そのお客さんはなぜか見積もりを拒否していて──?

リフォームコーナー

私が勤めていたホームセンターは県内で最も店舗面積が大きく、また売り上げも1位の大型店舗でした。リフォームコーナーも他店舗に比べて、展示品が豊富。そのため、近場の方だけでなく、遠方のお客さんも実際に展示品を見に来て、契約をすることが多々ありました。

見積もりから契約

リフォームや外構工事の中には、すぐに契約するのではなく、現場調査が必要な場合があります。工事をする担当者が、事前に実際に現場を見て、その場で見積もりを作成します。その見積もりを見た上で施工を希望する場合は、再度ご来店いただき契約する流れでした。そのため、現場調査が必要ない工事に比べて、施工まで日数がかかってしまいます。

また、契約時に契約金の3分の1以上をお客さんが支払い、残金は工事完了後1週間以内に支払うという規約でした。リフォームや外構工事を複数行うと、高額になってしまうことがあり、支払い方法はカードで分割にするお客さんが多い印象でした。

支払い方法は!?

ある日、リフォームコーナーに女性のお客さんが来ました。
「家をリフォームしたくて、トイレとお風呂、キッチン、ガス給湯器の工事をして欲しいんだけど頼めるかしら?」とリフォーム担当者に言いました。

「かしこまりました。そうしますと一度、お家にお伺いさせていただきお見積りいたしますね。よろしいでしょうか?」と担当者は女性に尋ねました。

すると女性は、「あら、急いで工事をして欲しいから、見積もりはなしでお願いしたいんだけど」と現場調査なしを希望してきました。
少し驚いた担当者は、「見積もりをしないと大体おいくらになるかもお伝えできないんです。お家やご希望内容によってかなり差が出てしまうものでして」と伝えます。

女性客は「でも、とにかく早くリフォームしちゃいたいのよ。見積もりはなしでいいわ」と納得していない様子。

担当者は「申し訳ございません。基本的に現場を一度確認した後でないと、工事するのが難しいんです。仮に事前の現場調査なしで、ご自宅に伺うとなると、サイズが合わないなどの理由で、別の商品を取り寄せたりと、逆に施工まで時間がかかってしまう場合がございます」と丁寧に説明します。

「あら、そうなの」と女性に納得してもらい、現場調査を行うことになりました。

1週間後。見積もりを見た女性は、契約のために再度リフォームコーナーにやってきました。現場調査による見積もりでは、工事の合計金額は数百万円以上と出ていました。

しかし女性は「前払いと後払いでわけるのは面倒だから、今日一括で払うわ」と、なんてことのないように支払いを済ませるのでした。

変わったお客さんの正体

それから数週間後、「リフォームの工事が良かったから、今度は外構工事をお願い」と女性は再度リフォームコーナーに現れたのでした。そして、また契約時に数百万円以上を一括で支払うのでした。

当初「見積もりを出さなくていいなんておかしい」と怪しんでしまっていたのですが、蓋を開ければ見積もりの金額にはあまり興味のないお金持ちのお客さんでした。
いろいろなお客さんが来て世界の広さを知ったのでした。

【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2020年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。

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