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今回は、以前スーパーの惣菜コーナーで働いていた亜紀さん(仮名)から聞いた話をご紹介します。現場では、社員とパートが一緒に働いていたのですが、ある男性社員の何気ない言葉に、少しずつ空気が変わっていき……。

「パートは気楽」という言葉

私はスーパーの惣菜コーナーで働いていました。夕方になると揚げ物の補充や値引き作業、お客さん対応が重なって、売り場は一気に慌ただしくなります。

そんな職場に、40代手前くらいの男性社員がいました。その人は普段から「パートさんは責任がなくて気楽ですよね」と、よく口にしていたのです。ただ、不思議だったのは、そのわりに忙しい時間になると売り場からいなくなることでした。気づけば事務所やバックヤードにいて、現場に戻ってこないことも多かったのです。

その日も、私たちパートは売り場を走り回っていました。すると、その社員は売り場を見ながら「なんか今日はバタバタしてますね」と一言。思わず言い返したくなりました。でも、その瞬間は「今は揉めるより、まず回さなきゃ」と気持ちを飲み込んだのです。

少しずつ溜まる空気

休憩中、別のパートさんが小さくため息をつきました。「結局、今日もほとんど裏にいたね……」誰かが強く文句を言うわけではありません。でも、不満だけは静かに積もっていきました。現場では、誰がどれだけ動いているかは意外と見えています。特に忙しい日は、ごまかしがききません。

それでも私は、「感情的になったら余計ややこしくなる」と思っていました。毎日顔を合わせる職場だからこそ、空気を悪くしたくなかったのです。だから、心の中で引っかかりを感じながらも、とにかく目の前の仕事を回し続けていました。

繁忙期に起きたこと

空気が変わったのは、年末前の繁忙期でした。開店直後から惣菜がどんどん売れて、補充がまったく追いつかない状態に。レジ対応、電話、お客様対応も重なり、現場はかなり混乱していました。そんな中、その社員は「発注確認してきます」と言ってまたバックヤードへ行ったまま、なかなか戻ってきませんでした。

私たちは「私レジ側やるね!」「揚げ物お願い!」と声を掛け合いながら必死に動いていました。でも、そのときふと思ったのです。「このままだと、現場だけが疲弊して終わる」

閉店後、私は店長に状況を伝えることにしました。ただし、「誰が悪い」と責める言い方はしませんでした。「人手と動き方に少し偏りがあるように感じます」と、できるだけ冷静に、事実だけを伝えたのです。

毎日見ている人はわかっている

後日、店長が売り場の状況や作業の流れを確認したらしく、朝礼でその社員にかなり厳しい注意が入りました。それ以降、その社員は以前より売り場に出るようになり、自分から動く場面も増えていったのです。私は、その様子を見ながら「怒鳴ったり、感情でぶつからなくてよかった」と思いました。

毎日同じ現場で働いていると、誰が本当に動いているのかは、自然と見えてきます。声が大きい人より、黙って支えている人の働きぶりを、ちゃんと見ている人はいるのだと感じた出来事でした。

【体験者:40代・パート勤務、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

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