「自由がほしい」が口ぐせの夫
夫は過干渉な家庭で育った反動からか、「とにかく自由でいたい」「束縛は無理」が口ぐせでした。
実際、飲み会に行けば連絡なしで朝帰りは当たり前。子どもが生まれてからもそのスタイルは変わらず、「このまま飲みに行く」と一言だけ残して帰ってこないことも多々ありました。
週末も友人優先で、家事や育児はほぼノータッチ。それでも本人は「縛られたくない」の一点張りでした。
自分は自由、相手は管理?
ところが、私が美容院や友人とのランチに出かけるとなると話はまったく別です。
「どこ行くの? 誰と? 何時に帰るの?」と細かく確認され、帰宅時間が近づくと立て続けに「予定の時間まであと30分だけど帰ってくる?」「遅くなるならちゃんと連絡くれないと」と連絡が入ります。楽しいはずの外出も、スマホが鳴るたびに現実に引き戻される状態。
一方で夫は、自分が飲みに行くときには「俺が楽しんでる時に連絡してくるな。束縛は無理」「飲み会で楽しい気分だから連絡なんてしていられない」と真顔で言い放つ始末。絵に描いたようなダブルスタンダードでした。
矛盾を突いた、素朴な疑問
積み重なる違和感に、私はある日、静かに伝えてみることに。「自分は連絡してこないのに、私には求めるのっておかしくない? それなら私も連絡しなくていいってことだよね?」
強く責めるわけでもなく、ただただ抱えていた疑問を手渡した言葉。その瞬間、夫ははっとした表情で黙り込みました。
“自由”と“尊重”の境界線
そして出てきたのは、「……たしかに。自分はしてないのに求めるのはおかしいね。ごめん」という素直な謝罪でした。
“自由でいたい”という気持ちは悪くない。ただ、それが相手の自由を奪うかたちになった瞬間、それはただの自己中心的な主張に変わります。その線引きに初めて気づいた夫にとって、この一言はスタートラインだったのかもしれません。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:橘 りお
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。

