これは、看護師として病院に勤務している友人から聞いたエピソードです。病院といえば、頻繁にナースコールが鳴っていて、忙しいイメージをもつ人が多いと思います。真夜中のナースコールは、信じられない“あるある”が絡むことも……。

トゥルルルルルー

真夜中のナースコールが鳴り響きます。ナースコールの相手は、今日入院されたばかりの女性の患者さんからです。電話口で「いい歳した大人なのに、こんなことを言うのはアレですが……」と、申し訳なさそうに話し出す患者さん。

「実は霊感が強くて……私の病室のトイレ付近にたぶん幽霊がいます。気になってなかなか眠れなくて……」と、どうやら患者さんの個室に幽霊がいるとのことでした。

異変を感じる患者さん

とりあえず急いで患者さんのもとへ向かうも、霊感がない私には何も感じません。「見えないんですけど、霊の気配は感じるんですよ」「この気配だと……おそらく年配の女性の幽霊だと思います」「小さな頃から霊感が強くて……。霊感があっても得することがあまりないので、本当は霊感を無くしたいんですよね」と、患者さんは困り果てた様子。

病室を移動をさせてあげたかったのですが、満床でどこも空きがなく、仕方なくそのまま我慢していただくことになりました。

再び病室へ

後日、幽霊と患者さんの様子が気になった私は、再び病室に行ってみることにしました。「手術お疲れ様でした。そういえば、幽霊の件は大丈夫でしたか?」と、声を掛けました。

「あー、心配してくださりありがとうございます。実は、手術後に病室に戻ったら、やっぱりまだいたんですよ~。でも、術後の痛みが強くて、私の機嫌がすこぶる悪かったのを察したみたいで幽霊は立ち去りました」

笑顔で話す患者さんに、私はほっと一安心。

空気を読めるデキるヤツ

その後は2人で「幽霊も空気が読めるんですね〜」と、笑い話になりました。病院に看護師として長年勤めていると、幽霊話は“あるある”です。しかし、「空気が読める幽霊」に出会ったのは初めてでした。

【体験者:30代・女性、回答時期:2024年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。