夕食に煮込みハンバーグ
我が家では、ハンバーグを作るときはいつも特に味つけをせず、食卓でそれぞれがケチャップやソースをかけて食べています。
ある日の夕食、私が「今日ハンバーグでいい?」と聞くと、夫は「うん」と返事をしました。食材の棚を見ると、トマトソース缶があったので、私はいつものハンバーグと少し趣向を変えて、煮込みハンバーグを作ることにしました。
「味付けろなんて頼んでない」
自分の中ではまぁまぁおいしくできたつもりでした。ところが、夕食に出すと、夫は一口食べてから「……ハンバーグに味つけろなんて頼んだ?」と言ってきたのです。どうやら煮込みソースの味が、夫の好みではなかったようでした。
しかし、せっかく作った料理に対して嫌味な言い方をされたことに、私はイラッとしたのと同時に、「おいしくない」と言われたようで、少し落ち込みました。
息子の一言
すると、隣で食べていた息子が「パパ、そんなこと言ってなかったよ」と口を開きました。さらに「何も言わなかったのに味つけてくれて、ママ優しいね!」と夫に向かって言うのです。息子には夫の嫌味が伝わらず、純粋に言葉を受け取ったようでした。
いつもハンバーグにケチャップをかける息子は、煮込みハンバーグもおいしそうに頬張っていました。
反論できない夫
息子の言葉を聞き、少し気まずそうな表情を浮かべる夫。それ以上は何も言えなかったようで、「うん……優しいな」とだけ返し、そのまま黙って食べ始めました。
息子の一言がなかったら、あの場で夫と喧嘩になっていたかもしれません。私が言い返すことなく、その場を丸く収めてくれた息子に心の中で拍手を送りました。
子どもは大人のように遠回しな言い方をしないからこそ、時には核心をつくものだと感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:小橋美月
マスコミ業界に16年勤務。業界で培った原稿執筆のスキルを活かし、ライター業へ。さまざまな職種、ライフスタイルの人への取材を通じた、「生きたエピソード」が強み。働く女性の葛藤や子育て、夫婦関係など、実体験に基づいたリアルな物語を届ける。

