エサと呼ばれた弁当
仕事復帰を控えていた私は、これから忙しくなる生活に備えて、食事を用意する負担を少しでも減らしたいと考えていました。そこで冷凍宅配弁当を注文し、忙しい日に家族で食べられるよう冷凍庫にストックしておくことにしたのです。
ところが夫は、届いた弁当を見るなり「こんなの家族に出すなんて手抜きだろ。エサと同じじゃん」と批判します。「忙しい日のために用意しただけだよ」と説明しても、夫は納得していない様子でした。
夫の在宅勤務
その翌月から夫の会社でリモートワークが導入され、夫は自宅で仕事をする日が増えました。私はすでに仕事へ復帰しており、朝は自分の支度だけで手いっぱいです。そのため夫の昼食までは準備せず、自分で用意してもらうことにしたのです。
夫は初日にカップ麺、2日目にはコンビニ弁当を食べていました。しかし「毎日これだと飽きるな」「コンビニ弁当も意外と高くつく」と、早くも不満をこぼし始めてしまったのです。
冷凍庫の異変
夫の在宅勤務が始まって1週間ほど経ったある日、冷凍庫を開けた私は思わず手が止まりました。見覚えのない冷凍宅配弁当が、奥までぎっしりと詰め込まれていたのです。「これ、誰が頼んだの?」と尋ねると、夫はすっと目を逸らします。
よくよく話を聞くと、毎日の昼食に困った夫は、冷凍庫に残っていた弁当を「試しに」と食べてみたそうです。予想以上のおいしさにハマってしまい、その後もこっそり食べ続けていたというのです。
撤回した夫
さらに夫は「……定期便のほうが安かったから」と、自分で新たに注文したことを打ち明けました。冷凍庫を埋めていた弁当は、すべて夫が頼んだものだったのです。私はすかさず「エサって言ってたのは誰だっけ?」と問いかけます。
すると夫は気まずそうな表情を浮かべ「あれは撤回させてください」と、あっさり負けを認めたのです。今では夫の方が色々な種類の宅配弁当にハマってしまっています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:逢坂 ゆな
ライター業をしながら、実は現役の保育士でもある。その実体験を元にしたエピソードをSNS発信すると好評を得て、執筆者としても活躍するように。幼稚園教諭や歯科受付などの、多彩な職業も経験。読者からの共感の声やお悩み相談、体験談が届き、それらも元に執筆中。育児エピソードや義母・夫とのバトルなど、ママ世代から共感を呼ぶリアルな体験記事が人気。

