引っ越し先でできた新しい友達
私には小学3年生の息子がいます。当時は引っ越してきたばかりだったため、息子にはまだ親しい友達があまりいませんでした。そんなある日、息子が同じアパートに住んでいるという小学5年生の男の子を連れて帰ってきました。
「家で遊びたいって言われて……いい?」学年は違いますが、同じアパートに遊べる友達ができたことを嬉しく思い、私は快く了承しました。男の子の名前は海斗君(仮名)。ところが、家に入ってきた海斗君は挨拶もせずソファにどかっと寝転がると「ねぇ、Wi-Fiのパスワード教えて!」と、いきなり言ってきたのです。
「え?」驚いて聞き返すと「ゲームやるから早く教えて!」まるで自分の家のような態度。今まで息子の友達を家に招いたことがなかった私は、「子どもってこういうものなのかな」と戸惑いながらも、言われるままパスワードを教えてしまいました。しかし、この判断が思わぬトラブルを招くことになるのです。
我が家のWi-Fiに異変が
それから数週間後、海斗君は頻繁に我が家へ遊びに来るようになりました。するとある頃から、家のWi-Fiが極端に遅くなり始めたのです。最初は「電波が悪いのかな」と思っていましたが、何日経っても改善しません。
動画を見るのもスマホを使うのも不便になり、さすがにおかしいと思った私は、帰宅した夫に相談しました。夫がルーターを確認していると「これ、なんのアカウント?」そこには海斗君が使っていると思われるゲーム機だけでなく、見知らぬデバイスまで接続されていたのです。
夫は「これWi-Fiを勝手に使われてるぞ!」と言い、急いでパスワードを変更しました。すると、それまで遅かったWi-Fiが嘘のように元通りになったのです。どうやら我が家のWi-Fiは、知らない端末から利用されていたようでした。
「新しいパスワードを早く教えて!」
翌日のことです。突然玄関から、「海斗の母ですけど!」という大きな声が聞こえてきました。恐る恐る出てみると、初対面なのに挨拶もそこそこに「Wi-Fiのパスワード変えたでしょ! 新しいの早く教えて!」と、いきなり要求してきたのです。
私は思わず「井口さん(仮名)ですか?」と尋ねました。すると「そうに決まってるでしょ!」と、さらに声を荒らげます。私は冷静に、海斗君のことは名前しか知らず、苗字までは知らなかったことを伝えました。すると「だからなんなのよ!?」と、また怒鳴られる始末。
そこで私は「昨日、Wi-Fiを不正利用されていることが分かったんです。その不正利用している端末名が『iguchi』だったんですよね」その瞬間、井口さんの表情が固まりました。さらに、大きな声で騒いでいたためいつの間にか近所の人たちも集まり野次馬ができていました。
すると井口さんは顔を真っ赤にして「もういいわよ!」と言い残し、そのまま帰っていきました。
非常識親子をきっぱり撃退
その後、何事もなかったかのように海斗君が我が家へ遊びに来ました。しかし、私はもうWi-Fiのパスワードを教えません。「これからは外で遊んでね!」そう伝えると、それ以降、海斗君が我が家へ来ることはなくなったのです。
最初は「友達ができた」と喜んでいた息子に申し訳ない気持ちもありましたが、結果的には非常識な親子と距離を置くことができたので、これでよかったと思っています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:タカダ ミオ
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。

