友人から聞いたお話です。市役所を定年退職し、穏やかな毎日を送っていた友人の叔母が紹介された一匹の高齢犬。看取ってあげられるかもしれないと覚悟を決めた叔母と犬が過ごした日々。そして年月が流れ、叔母が人生の最期を迎えようとしていたとき、不思議な出来事が起こったそうです。
「あと数年なら、私でも看取ってあげられるかも」
市役所を定年退職したある日、叔母に、元同僚から「犬好きだったよね?」と連絡が入りました。聞けば、飼い主だった女性が施設に入り、犬の引き取り手が見つからないとのこと。しかも高齢で病気もあり、残された時間は長くないかもしれないといいます。
叔母は「この年齢で、病気の犬を飼えるかしら」と迷いながらも会いに行くと、部屋の隅で小さく丸くなっていた一匹の犬と目が合い……なぜか放っておけなくなりました。
「この子の最後の飼い主になろう」こうして叔母とハナ(仮名)の暮らしが始まりました。
「残りの時間を、楽しいものにしてあげたい」
ところがハナは、なかなか叔母に懐きません。近づけば不安そうにこちらを見て、どこか人の顔色をうかがっているようでした。「今まで、あまり甘えられなかったのかな」そう思った叔母は、ハナとできるだけたくさんの思い出をつくることに。海へ行き、山へ行き、犬と泊まれるペンションへも出かけました。
少しずつ心を開いたハナは、いつしか自分からそばに来て、叔母の膝に顎を乗せるように。その仕草を見るたび、「うちに来てくれてよかった」と思ったそうです。
