母の施設入所をめぐって、兄と意見が対立
母の認知機能が低下し、自宅での生活も難しくなってきた頃、私は「このまま一人で介護を続けるのは限界だ」と感じ、施設を探し始めることに。
ところが、兄からは「母は家にいたいと言っているのに、施設に入れるなんてかわいそう」と反対されました。
「じゃあ、誰が介護するの?」兄に投げかけた一言
私が「じゃあ、お兄ちゃんが毎日来てくれるの?」と尋ねると、兄は言葉に詰まりました。それ以上は何も言えず、兄妹の間には少しずつ距離ができていったのです。
私は仕事の合間に母の食事や通院、着替えなどの世話を続けましたが、心身ともに疲れがたまっていきました。
母の夜間の外出が、兄の考えを変えるきっかけに
ある夜、母が夜中に一人で外へ出てしまい、私は慌てて探しに行きました。その出来事をきっかけに、兄も実際の介護の大変さを目の当たりにし、「施設に入れたくない」と言うだけでは何も解決しないと感じたようです。
兄は「今まで口だけ出してごめん。母の希望も大事だけど、介護する人が倒れたら意味がないよな」と私に謝りました。
「施設はかわいそう」から「一緒に考えよう」へ
その後は、母本人の希望を確認しながら、兄弟で介護サービスや施設について調べることに。親の希望だけでなく、介護する側の負担も考えたうえで、今後の生活を決めることになりました。
介護は、一人に任せきりにせず、親の希望と家族それぞれの負担を踏まえて話し合うことが大切だと感じた出来事でした。
【体験者:60代・主婦、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:中條みき
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

