私の知人・雅子さん(仮名)の姉は、両親が高齢になるにつれ、実家の土地や貯金など財産を気にする発言が増えていました。そんななか父が自宅で生活することが難しくなり、施設への入居を検討し始めると、姉が口を出してきて……?
すると、黙っていた母が……
それまで私たちのやり取りを聞いていた母が、ついに口を開きました。「あのねぇ……私とお父さんのお金なんだから、あなたは気にしなくていいのよ!」
そして「遺産は期待しないでちょうだいね〜。最後まで人生を楽しむために、しっかりお金は使いますから」と、あっけらかんと言い放ったのです。まさか母からそこまでハッキリ言われるとは思っていなかったのか、姉は「いや、別に遺産のことじゃ……」と慌てた様子でした。
母が大切にしたかったこと
母は続けて、「せっかく貯めてきたんだから、お父さんが安心して暮らせることにも、私が無理せず生活することにも使わせてもらうわ」と笑顔で話しました。そこまで言われると、姉もそれ以上反対することはできません。その後は、父の施設について口を挟まなくなりました。私も、母自身がこれからの暮らしを優先するときっぱり伝えてくれたことで、ホッとしました。
両親が長年築いてきた財産は、まず両親自身が安心して老後を過ごすためのものです。将来残るお金を気にするより、今の暮らしのために使いたい。そんな母の潔い言葉に、私も深く納得した出来事でした。
【体験者:50代・女性会社員、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。
