さすがに休みすぎでは
私は薬局で20年以上働いている薬剤師です。小学校低学年の娘と90代の父親と一緒に暮らしており、夫は単身赴任で遠方にいます。
そんな私は、子どもの行事や父親の通院などで有給を頻繁に取っていました。さらに最近は父親のデイサービスへの行き渋りや、娘の学童への行き渋りなどで、遅刻や早退も増えてしまいました。
私が急に休んだ分の穴埋めをしてくれていたのが、産休明けで入って来た前田さん(仮名・20代女性)。そんな前田さんがある日「育児と介護が大変とのことですが、さすがに休みすぎじゃないですか」と私に言ってきたのです。
この状況は自業自得
私が申し訳なさそうにしていると、前田さんは続けて「小学生だったら言うこと聞くだろうし、親は高齢とはいえ大人でしょ。赤ちゃんを育てている私よりはラクなはずなのに」と強い口調で言います。
さらに「親と同居して子育てするとか、本来なら良い条件なのに。高齢出産するから介護と重なって大変なんですよね。自業自得だし、まわりに迷惑をかけるのはひどくないですか」と言い放ちました。
薬局長がフォロー
私はショックで何も言えません。そこへ薬局長が「おいおい、言い過ぎだよ」と言いながらやって来ました。
そして「浅井さんは育児も介護も経験しているから、患者さんの生活に寄り添った説明ができると好評なんだ。出産が遅めなのは専門資格を取ったからで、キャリアもプライベートも大切にしているんだよ」と前田さんに伝えてくれたのです。
様々な経験が生きてくるから
さらに「一方で前田さんは責任感があるのが強みだね。今は慣れない育児と仕事の両立で大変だと思うけど、その経験も将来につながると思うよ」と優しく伝えていました。
それ以降、私は様々な工夫をして、遅刻や早退を減らすことができました。そして前田さんが子どもの体調不良で休む際も、薬局内で助け合いながら仕事を回しています。
目の前の状況だけでなく、相手の歩んできた人生や背景をふまえて判断することも大切だと、頼もしい薬局長の優しさにより気づくことができた出来事でした。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:伊村 えりか
薬剤師歴12年。就業を通じて多くの人生や、悩み、奇跡などに直面し、それらを伝えるべく執筆活動を開始。職場や同世代の女性との会話をもとに、医療現場の裏側から家族の「あるある」まで、多岐にわたるテーマで執筆を手がける。子育てサイトのアンバサダーを務め、身近な視点を活かしたコラムを執筆中。

