猫の世話を隣人にお願いすることに
今の一戸建てへ引っ越してきたのは3年ほど前です。隣には70代の女性が1人で暮らしており、会うたびに野菜や手作りのおかずを分けてくれるなど、親切にしてもらっていました。
ある夏、夫と3泊4日の家族旅行へ出かけることになったのですが、飼い猫を慣れない場所へ預けるのが心配でした。そこで隣人に相談すると、「猫なら昔飼っていたから任せて」と快く引き受けてくれたため、旅行前日に自宅の鍵を1本預けました。
帰宅後、猫に変わった様子はなく、鍵もすぐに返してもらったので、私はすっかり安心していました。
家の中に残された小さな違和感
ところが数週間後から、外出して帰宅するたびに、家の中で妙な違和感を覚えるようになりました。畳んだ洗濯物の置き方が変わっていたり、冷蔵庫の中身が別の棚へ移されていたりするのです。夫に聞いても「何も触っていない」と言います。
気のせいだと思おうとしましたが、ある日、玄関に見覚えのない女性用のサンダルが置かれていました。さらに隣人から「昨日はずいぶん遅くまで出かけていたのね」と言われます。外出時間など教えていなかったため、背筋がぞっとしました。
防犯カメラに映っていた人物
不安になった私は、外出前に寝室のドアへ細い糸を挟んでおきました。帰宅すると糸は床に落ち、引き出しまで少し開いています。夫と相談して室内に防犯カメラを設置すると、翌日、信じられない光景が映っていました。
留守宅へ入ってきたのは、あの隣人だったのです。冷蔵庫を開け、寝室の引き出しをのぞき、私宛ての郵便物まで読んでいました。映像を見せて問いただすと、隣人は「散らかっていたから片づけてあげたの」と平然としています。
「鍵は返してもらったはずですよね?」と聞くと、「猫の世話を頼まれたときに合鍵も作っておいたから。何かあったら困るでしょう?」と笑顔で答えました。
親切だと思っていたのに……
私たちはすぐに警察へ相談し、玄関の鍵も交換しました。防犯カメラの映像を確認した隣人の息子は何度も頭を下げましたが、本人は「親切でやっただけ」「お礼を言われてもいいくらい」と最後まで自分の行為を問題だとは認めませんでした。
その後、隣人は息子の家で暮らすことになり、勝手に家に入られることはなくなりました。それでも私は、帰宅して玄関の鍵を開ける瞬間、今でも誰かが中にいるのではないかと身構えてしまいます。
どれだけ親しくしている相手でも、自宅の鍵を預けることにはリスクがあります。少しでもおかしいと感じたら、気のせいだと片づけず、記録を残して早めに周囲へ相談することが大切だと痛感しました。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

