私の知人・千秋さん(仮名)は病院の受付で働いています。ある日、保険証を忘れたという男性患者に支払いについて説明したところ、「融通を利かせろ!」と突然怒鳴られてしまい……?
すると、常連患者さんが
そのときです。一部始終を見ていた常連患者の高田さん(仮名)がそっと近づいてきて、「あの〜……保険証を見せて初めて、負担割合が減ると思うのよねぇ」と声をかけてきました。
男性が振り返ると、高田さんは「ほら、割引券と同じ感じよね。持って来ないと割引できないでしょう?」と穏やかに続けます。さらに「忘れたなら、取りに帰ったらいいんじゃない?」とひと言。思わぬところから声をかけられた男性は、言葉に詰まりました。
優しい言葉に救われて
周囲からの視線にも気づいたのか、それまでの勢いが一気にトーンダウンした男性。「……もういいわ」と言うと、その日は診察を受けずに帰っていきました。
その後、私は高田さんにお礼を伝えました。すると「大変ねぇ。気にしないでね」と笑ってくれ、救われた気持ちになったのを覚えています。
規則に沿って説明しても、ときにはなかなか納得してもらえず対応に困ることも。そんな状況を見かね、穏やかに助け舟を出してくれた高田さんのおかげで、張り詰めていた気持ちがふっと軽くなった出来事でした。
【体験者:30代・病院勤務、回答時期:2024年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。
