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これは、友人の幸恵さん(仮名)が体験した話です。幸恵さんの部署に入ってきた新入社員は、パソコンや新しいツールの扱いが得意な一方、先輩たちの仕事の進め方には少し思うところがあった様子。そんな2人が一緒に取引先を担当したとき、ある出来事が起こりました。

取引先からのひと言に言葉を失う

ところが翌日、取引先から「今日届く予定の商品が来ない」と会社へ電話が入りました。対応した美咲さんは「昨日メールしました」と答えたのですが、担当者から「メール? こちらには届いていませんよ」と言われ、みるみる表情が変わりました。

慌てて確認してみると、送信先のメールアドレスを1文字間違えていたことが判明。しかも取引先では、その商品が届くことを前提に作業員まで手配していたため、予定を組み直さなければならなくなってしまいました。

焦った美咲さんが「でも、メールはちゃんと送ったので……」と言うと、担当者は静かな口調で「送ることが仕事ではなく、伝わることが仕事ですよね?」とひと言。隣にいた私にも聞こえるほど長い沈黙が流れました。美咲さんはうつむき、「申し訳ありません」と小さな声で謝るしかありませんでした。

新しいか古いかより大切だったこと

私も一緒に取引先へ謝罪し、その後の対応について担当者と調整しました。幸いにも大きな問題にはならず、なんとか収めることができました。

帰社すると、美咲さんが私のところへ来て「幸恵さんが電話でも確認しようって言ってた意味、やっと分かりました」と話してくれました。私は「新しいやり方が悪いわけじゃないよ。私も美咲さんから教わりたい。でも、大事なのは新しいか古いかじゃなくて、相手にちゃんと伝わるかだと思う」と返しました。

それ以来、美咲さんは何でも「古いやり方」と決めつけることがなくなり、重要な連絡では相手に合わせて確認方法を変えるようになりました。一方で、私も美咲さんから便利なツールを教えてもらっています。

新しい方法にも、昔から続いている方法にも、それぞれ理由があります。どちらかを否定するのではなく、目的に合わせて使い分けることが大切なのだと改めて感じた出来事でした。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

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