上司夫婦は見ていた
そのとき、上司の奥さんが「先ほど、奥様に『早く歩け』とおっしゃっていませんでした?」と夫に尋ねました。どうやら少し離れた場所から、私たちのやり取りを見ていたようです。夫は慌てて「いや、あれは冗談で……」と言い訳。
すると上司が、「家族への態度は、誰も見ていないときに出るものだよ」と静かに一言。さらに「奥さんを大切にしているふりを、私たちの前だけでしなくていい。まずは本当に大切にしなさい」と諭されました。夫は顔を真っ赤にしたまま、黙り込んでしまいました。
私も初めてはっきり伝えた
帰宅すると、夫は何事もなかったように振る舞おうとしました。けれど、私も今回は黙っていませんでした。「今日みたいに人前で優しい夫を演じられるなら、家でもできるよね」と伝えたのです。
そして「これからも私を見下すような言い方を続けるなら、今後の生活を考え直す」と、初めてはっきり意思を示しました。上司からの言葉がよほどこたえたのか、夫は小さな声で謝りました。
その後、すぐに別人になったわけではありません。それでも食後の片づけをするようになり、横柄な言葉を口にしたときには、自分で言い直すようになりました。
相手によって態度を変えられるのなら、家族への横柄な振る舞いを「性格だから」で済ませることはできないと思います。あの日の偶然が、私に我慢をやめるきっかけをくれました。
【体験者:40代・主婦、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。
