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今回は、高校時代からの友人である裕子さん(仮名)に聞いた、義母の介護と遺産をめぐる話をご紹介します。3年ほど義母を支え続けた裕子さんでしたが、義母が亡くなったあと、ほとんど介護に関わらなかった義兄夫婦から思いもよらない言葉をぶつけられたそうです。

行政書士が持ってきた2つの書類

後日、親族が集まった席に、義母の知人だった行政書士の男性がやって来ました。そして「公正証書遺言を預かっています」と告げたのです。

遺言には、介護を続けた私への感謝とともに、主な財産を夫に相続させるという義母の意思が記されていました。それだけではありません。義兄が義母から何度もお金を借りていたことを示す借用書まで残されていたのです。

返済されていない金額を考慮すると、義兄が新たに受け取れる財産はほとんどないとの説明を受けました。先ほどまで強気だった義兄夫婦は、黙り込んでしまいました。

義母はちゃんと見ていてくれた

すると義兄の妻が、「そんなの聞いていない! うちには借金があるのよ」と泣き出しました。夫は静かに「母さんが元気なうちに会いにも来なかったのに、亡くなった途端に家族を名乗るのか」と返しました。その言葉を聞いた瞬間、ずっと張りつめていたものがほどけた気がしました。

介護は大変でしたし、「どうして私ばかり」と思った日もあります。それでも義母は、私たちがしてきたことをちゃんと見ていてくれたのです。

介護を誰か1人に押しつけながら、遺産だけを当然のように求めるのは身勝手な話です。義母が残してくれた遺言と記録が、最後に私たち夫婦の苦労を労ってくれました。

【体験者:40代・主婦、回答時期:2026年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

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