これは友人から聞いた夫婦喧嘩の話です。機嫌を損ねるたび、家事も育児も妻に任せて1人で外出する友人の夫。ところが、限界を迎えた友人が同じように家を出ると、帰宅した瞬間「母親失格」と責められたそうです。そこで友人が放った痛烈な一言に、夫は何も言えなくなって……
「母親失格じゃない?」
「子どもを置いて何時間も出ていくなんて、母親としてどうなの? 母親失格じゃない?」耳を疑いましたが、私は冷静に返しました。「今日、私がしたことは、あなたがいつもしていることだよ。あなたが出ていくたび、私は1人でご飯を作って、お風呂に入れて、寝かしつけてる」と。
夫は「でも、母親と父親じゃ……」と言いかけました。そこで私は、「一度やっただけで母親失格になるほど重大なら、何度もやってきたあなたは何なの?」と問いかけました。夫は口を閉ざし、何も言えなくなりました。
初めて「待つ側」になって気づいたこと
後日、夫から「今まで自分だけ外に出てごめん」と謝罪がありました。1人で子ども2人を見ながら家事をこなし、いつ戻るか分からない相手を待ったことで、私に押しつけていた負担を初めて実感したそうです。
それ以来、夫は喧嘩をしても黙って出ていかなくなりました。一人になる必要があるときも、「30分だけ外に出てもいい?」と帰宅時間を伝えるように。
同じことをやり返すのが正解とは限りません。それでも、言葉で伝わらないときは一度立場を入れ替えることで、ようやく見えるものもあるのかもしれません。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:島田歩実
元銀行員として、女性のキャリアやお金にまつわるあれこれを執筆中。アメリカへの留学経験もあり、そこで日本社会を外から観察できたこともライターとしての糧となる。現在はSNSなどを介してユーザーと繋がり、現代女性の声を収集中。
