人だかりの先には
しばらく進むと、前方に人だかりができていました。嫌な予感がして近づくと、そこにはAの姿。さらに、転んだわけではなく、明らかに酔っている状態だったのです。しかも見知らぬ大学生くらいの男性に、ご飯やドリンクを奢っているではありませんか。
私に気づいたAは「ナンパされちゃって、全然帰してくれないのぉ。助けて〜」と嬉しそうに言ってきました。周囲の男性たちはクスクス笑っています。私は瞬時に、ナンパではなく“酔ったAが逆に奢らされている”状況だと理解。
男性に何があったのか確認すると「あの人が逆ナンしてきたんすよ」と嘲笑しながら返事がかえってきました。
子どもの前では
その時、「多目的トイレあった!」と娘の声が。Aの息子にこの光景を見せるわけにはいかないと、私はすぐに二人を多目的トイレのほうへ誘導。私たち親子はトイレ前で待機し、Aの息子は無事に用を足すことができました。
その後、私はAを人混みから引き離し、酔いを醒まさせ、空腹の子供たちに軽食を与え、「ママ、具合悪いみたいだから早めに帰ろう」と帰宅。Aの息子は終始、不安げな表情を浮かべていました。
それ以来、私はAと距離を置くようにしています。しかし今でも「この前、プールでナンパされちゃってさ」と得意げに話すA。その度に、私は男性たちの嘲笑を思い出してしまうのです。
誰しも完璧ではありませんが、子どもの前ではできる限り恥ずかしくない行動を選びたいものです。行楽地で気持ちが開放的になるのは理解できますが、お酒との距離感はやはり大切で、子どもと一緒ならなおのこと。当たり前のことですが、改めて思い知らされた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。
