今回は、義妹の由美さん(仮名)から聞いた実体験をご紹介します。母親の介護が始まったことで、家族の本音が少しずつ見えてきたそうです。介護をめぐる負担や兄夫婦との温度差、そして後になって明らかになった思いが、今でも強く印象に残っていると話してくれました。
遺産の話で変わった態度
しばらくして母の体調が悪化し、施設への入居を検討することになりました。費用を確認するため家族で母の預金や自宅について話し合うと、ある程度の預金があることが分かった途端、兄嫁は「施設代を節約して、家族で介護したほうがいいんじゃない? 残った財産は平等に分けないと」と言い出しました。
さらに兄まで「相続は兄妹で半分ずつだから」と口にし、その変わりように私は耳を疑いました。
母の一言がすべてを変えた
その場で母は「私のお金は、私が安心して暮らすためのお金。世話をしなかった人に残すために我慢するつもりはない」と静かに言いました。私は手帳を開き、これまで行ってきた介護の内容や立て替えた費用を読み上げると、兄夫婦は何も言えず黙り込みました。
その後、母は自ら施設への入居を決め、預金は介護費用として管理することになりました。後日、兄からは謝罪がありましたが、兄嫁から謝罪の言葉はありませんでした。
この経験を通して私は、介護の負担だけでなく、その経緯を記録として残しておくことが、自分自身を守る大切な支えになるのだと痛感しました。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。
