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今回は、知人の真理さん(仮名)から聞いた出来事をご紹介します。親の介護を優先するため、自ら派遣という働き方を選んでいた真理さん。しかし職場では、その事情を知らない同僚から「派遣だから」と決めつけられる日々が続いていました。肩書きだけで人を判断することの危うさを、改めて考えさせられた出来事です。

初めて話した本当の経歴

会議が終わると、部長が私に尋ねました。「真理さん、どうしてそこまで詳しいのですか?」私は少し迷いましたが、これまで誰にも話してこなかった前職について打ち明けました。

「実は以前、IT企業でシステムエンジニアとして働き、大規模システム開発ではプロジェクトリーダーも任されていました。しかし、親の介護が始まり、残業や急な出張が難しくなったため、自分の意思で派遣という働き方を選んでいたのです」

その話を聞いた女性正社員は、顔色を変えて私に頭を下げました。「知らずに失礼なことを言っていました。本当に申し訳ありません」

私は責める気持ちにはなれませんでした。事情を知らなかったとはいえ、少しでも伝わるものがあれば、それで十分だと思えたからです。

肩書きだけでは、人は分からない

その後、部長は女性正社員に向かって静かに言いました。「雇用形態で人の能力を決めつけるのは間違っている」その一言を受け、女性正社員はしばらく重要案件の担当から外れました。

私はあの打ち合わせのとき、特別なことをしたつもりはありません。ただ、自分にできることを、その場で精一杯やっただけです。

働き方を選ぶ理由は、人それぞれです。介護や子育て、家庭の事情、健康上の理由など、外からは見えない事情を抱えながら働いている人は少なくありません。だからこそ、肩書きだけで相手を判断してしまうのは、とてももったいないことだと思います。

人の価値は雇用形態ではなく、その人が積み重ねてきた経験や、目の前の仕事に向き合う姿勢の中にあるのだと、あの日の出来事からより強く感じるようになりました。

【体験者:30代・女性派遣社員、回答時期:2026年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

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