親戚の前で放たれた一言
ある日の親戚の食事会でも、義母は私に何度も声をかけました。「その座り方は違うよ」「お茶の出し方も覚えないと」そして最後に、「嫁なんだから覚えないと恥をかくよ」と言われた瞬間、部屋の空気がぴたりと止まった気がしました。
そのときでした。ずっと黙っていた夫が、「それ、お母さんのルールだよね。家ごとに違うんだから、麻衣菜に押し付けるのはやめて」と静かに言ったのです。親戚の一人も、「確かに、それぞれの家で違うものだよね」と続けました。
義母は少し驚いたような表情になり、「そういうものなのかね……」と小さくつぶやいて黙り込みました。
「常識」ではなく「その家のやり方」
それ以来、義母から細かな決まりを押し付けられることはほとんどなくなりました。私はあの日まで、「私が我慢すれば丸く収まる」と思っていました。でも、本当に必要だったのは、誰かが「それはみんなの常識ではない」と伝えることだったのです。
夫が初めて私の味方になってくれたあの一言は、今でも忘れられません。「あれは常識じゃなく、お母さんのマイルールだったんだ」そう気付いてもらえた瞬間、肩の力がふっと抜けました。
家庭ごとに大切にしている習慣は違うからこそ、お互いを尊重することが何より大切なのだと、今でも強く感じています。
【体験者:20代・主婦、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。
