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すると、その人は驚いた表情を浮かべたあと、思わず笑いながらこう言ったのです。「有名だったのは本当。でも、怖い存在じゃないよ。いつも強い先輩の後ろに隠れていたことで有名だったんだ」

さらに、「ケンカになると一番最初に逃げていたよ」「強い人たちの後ろにいただけだった」と次々に教えてくれました。私は耳を疑うしかありませんでした。

本当の過去

帰宅してから、夫の昔のアルバムを見返してみました。確かに夫はどの写真でも、先輩たちの端に小さく写っているだけです。私は思い切って聞いてみました。「昔、本当にそんなに強かったの?」

夫はしばらく黙っていましたが、小さく息をついて話し始めました。「本当は強い人たちと一緒にいただけなんだ。格好つけたくて、話を盛ってしまった」

笑い話になった過去

その言葉を聞いて、長年語っていた武勇伝が見栄だったことを知りました。私は、「そんなことで見栄を張らなくてもよかったのに」と伝えました。

すると夫は、「情けない過去をごまかしたかった」と苦笑いを浮かべながら謝ってくれました。それ以来、夫が武勇伝を話すことはなくなりました。代わりに、「昔は逃げ足だけは誰にも負けなかった」と、自分から笑い話にするようになったのです。

今では私も一緒に笑える思い出になりましたが、あれだけ堂々と話していた過去が、実は見栄だったと分かったときは、別の意味で一番驚いた出来事でした。

【体験者:30代・主婦、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。

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