今回は、従妹の美紀さん(仮名)から聞いた、亡くなった祖母にまつわる不思議な話をご紹介します。仕事や家のことで疲れ切っていた頃、美紀さんは実家の仏壇に手を合わせることも減っていました。そんなある雨の日、出かけようとした玄関先で……。
雨の夕方に聞こえた声
30代後半の頃、私は仕事と家のことで毎日ばたばたしていました。気持ちに余裕がなく、実家の仏壇に手を合わせることもいつの間にかしなくなっていました。
その日は朝から雨で、夕方にはかなり強くなっていました。それでも私は、どうしても済ませたい用事があり、車で出かけるつもりで玄関で靴を履いた瞬間。耳元ではっきりと声がしました。「今日はやめなさい」
家には誰もいません。でもその声は、数年前に亡くなった祖母にとても似ていました。
背中を引っ張られたような感覚
私は「疲れているせいかな」と思い、声のことは気にせず鍵を持って外に出ました。雨脚が強く少し急いでおり、車のドアに手をかけた時です。今度は、背中を軽く引っ張られたような感覚がありました。驚いて振り返りましたが、もちろん誰もいません。
ただ、玄関の奥から線香のような匂いがふっと漂ってきたのです。その日、線香は焚いていませんでした。さすがに気味が悪くなり、私は出かけるのをやめました。用事は明日でもいい。そう思い直して、部屋に戻ったのです。
