庭の秘密
見かねた祖母が、近所に住む霊能者の女性を紹介してくれました。その人は庭をひと通り見たあと、静かにこう言いました。「ここは昔から霊道になっている場所かもしれないね」さらに、「切られた植物が結界のような役目をしていた可能性もあるよ」とも……
正直、その時の私は半信半疑でした。けれど説明のつかない現象が続いていたこともあり、その言葉が妙に心に残ったのです。その後もしばらくの間、夜になると妖怪のような影は現れ続けました。
春に訪れた静けさ
転機が訪れたのは翌年の春。庭の藤が見事な花を咲かせたのです。すると不思議なことに、あれほど毎晩現れていた影がぴたりと姿を見せなくなりました。結局その後、二度と見ることはなかったのです。
後日、霊能者の女性から「藤の花は昔から邪気を遠ざける植物として語られることがある」と聞かされました。本当に藤の花のおかげだったのかは分かりません。偶然だったのかもしれませんし、別の理由があったのかもしれません。ただ、あの恐ろしい影が、藤の花が咲いた年を境に消えたことだけは事実です。
大人になった今でも、藤の花を見るとあの夜の記憶がよみがえります。そして私は時々考えるのです。庭に咲く花々には、人には分からない役目があるのかもしれない……と。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。
